茶と人間の関係の出発地点は、今から約6000以上前に遡ると言われています。
 場所は中国の南、現在の雲南省が茶の木の原生地ということが通説とされています。6000年以上前の遺跡から、ツバキ科の植物(チャノキはツバキ科)が発見されたことそうです。原生地については、他にもインドやタイ、ミャンマーなど様々な説があります。

 茶の木の原木は、現在の日本にあるような低木ではなく、十数メートルもある巨樹です。大茶樹とも言います。大茶樹は今でも現地の人々の食生活を支える大事な栄養源の一つとして利用されています。
 茶摘みをするときは、腰に籠をつけて、木を登って採ります。


大茶樹
大茶樹

茶を食べる


 今では飲料として当たり前に使われている茶の葉ですが、昔は飲料ではなく、食料、つまりは食べていたと言われています。

 写真にあるのは、ミエンやラペソーという、ミャンマーやタイでは今でも食べられている茶の葉の漬物です。当時の人々にとって、この葉に含まれる栄養であるカテキンやカフェインは自然界において非常に貴重なものであり、長期的に保存できるように作られたと考えられます。



ミエンとラペソー
ミエンとラペソー

茶を飲む


 やがて、団茶と呼ばれる長期保存用の飲料物が作られます。それが「団茶」です。
 製法はまた別の章で話すとして、団茶ができたことで、他の食物と比べると、とても栄養価の高い飲料が安定して摂取できるようになりました。
 また、団茶は中国の文化サロンと密接に関わり、味や香り、そしてその効能が妙境に至る必須アイテムの一つとしてもてはやされることとなります。

 始めはその効能を求められた植物が、文化的・精神的飲料として高い地位を得ました。
 平安時代には、学問僧として唐へ修行に訪れていた僧侶たちによって、日本へ伝わります。

様々な形を持つ団茶
様々な形を持つ団茶